民法714条による監督義務者の責任について、昨日(平成27年4月9日)、最高裁判例が出ました。新聞各紙が賑わっている感じです。新聞へのリンクはいずれ切れちゃうので、最高裁だけ貼り付け。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85032 最高裁の判決文を読んで私なりに解釈した限りですが、
事案としては、
当時小学校高学年の子が、学校でフリーキックの練習をしていた。
蹴ったボールが、ゴールから外れ、外に飛び出てしまう。
バイクで走っていた方が、そのボールを避けようとしたけれど転倒してケガ。
後に、入院したまま死亡。
というものです。
一般に、子どもAがBさんにけがをさせてしまった、というときには、
1 A自身の責任
2 Aを通じた親の責任
3 Aを監督する立場としての親の責任
というあたりが問題になります。(2と3は似てますが、根拠がちょっと違います。)
このうち、特に3については、通常の事故等に比べて、責任が認められやすい条文になっており、しかも、子であるA自身の行動が問題とされるべきものか(過失の有無)を問わずに責任を認める、というのが一般的な見解です。
そのため、これまでの裁判例も広範に責任を認めてきていました。率直なところ、「これでも!?」と思うような事例もあります。
個人的には、
ケガをした人の保護にあるためのものであるということ、
保険制度が広がっており、保険が付与されていることが多いこと、
といった政策的考慮があったのかな、とも思っていました。
確かに「これでも!?」と思う事例においては、損害額を減額しています。
他方で、今回の裁判例は、こういった広がりに一定の限界を認めました。
若干、一般論として解釈するのは疑問があり、これまでと大きく変わらないのではないか、というのが、判決文を読んでの正直な感想です。
けれども、このあたりは、私よりも詳細に過去の事案などを突き詰めている方が大勢いるので、そういった方々の見解や、判例関係の雑誌を見ながら勉強しようと思っています。
なお、今回の事案について、判決文を読む限りではあるのですが、子ども自身の行動に過失は認められない気がします。
普段遊んでいる(学んでいる?)学校の校庭で、ゴールに向かってボールを蹴って練習していたところ、枠から外れて、外にボールが飛び出てしまった、ということです。不幸な事故で、誰かの責任、ということではない気がしています。
他のブログやツイッターなどで、親や学校を相手にしないのはなぜだ、という意見も見ましたが、このあたりが理由なのかな、と思っています。
ただなぁ。
当時は、日韓ワールドカップが終わって2年後。
小学校高学年で、学校で練習をしているほど、サッカーが好きだった少年。
そして、事故による不幸な結果。
その子が、そして、両親が、また一方では遺族の方々が、どんなことを想っただろうか。
そのあたりを考えてしまうと、色々な想いがめぐってしまいます。