今回の政策評価では,法科大学院に対する実地調査なども予定されているようであるが,法科大学院に対する調査については,大学の自治や教育の自由に配慮する必要があることはもちろん,認証評価機関による評価も尊重する必要がある。さらに,調査を受ける法科大学院側の負担の大きさも考慮しなければならない。
① 制度の「利用者の視点」からの評価については,これまで関係機関によって十分な調査・評価がなされているとは言い難いので,かかる視点からの調査・評価を行うことは必要であり,またフォーラムでの検討・評価に資するものであると考えられる。
(②略)
③ 総務省が府省の枠を超えた調査・評価を実施することには一定の意義があると思われるので,関係機関における連携が不十分だと思われる点(例えば,法曹の多様性の確保という政策目的につき,この目的達成のために関係機関がどのような施策をとっているのか,各機関の施策にミスマッチが生じていないかなど)について,総務省が客観的な調査を行い,客観的な事実関係に基づく問題提起をすることは独自の意義があると考えられる。
④ 他方,法科大学院を中核とした新しい法曹養成制度に関する政策の妥当性を検証するような調査・評価は,近いうちに設置されるフォーラムで実施されるべきものであり,総務省がこれを目標とした調査・評価を行うことは差し控えるのが望ましい。
⑤ 法科大学院の実地調査については,認証評価機関や中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会等が既に調査している事項につき重ねて調査する必要性は乏しく,法科大学院の負担も大きいことなどに照らし,フォーラムに先行して総務省が法科大学院の実地調査をするのは望ましくない。
⑥ 受験予備校教師に対する調査を行う必要性や実効性にも疑問があり,これらの実施については慎重に考えるべきである。
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