<逮捕前置主義>
勾留には逮捕が先行していなければならないとする原則。
勾留について定めた刑訴法207条1項が「前3条の規定による勾留の請求」としか規定されておらず、この前3条がいずれも逮捕された被疑者について行われることから。
この逮捕前置主義には、
逮捕の際と勾留の際、2度の司法審査によって、身柄拘束に対して二度のチェックをなし、司法的抑制を働かせるものである、との考え方と、
比較的短期の身柄拘束である逮捕によって、被疑者からの弁解などを聞いた上で捜査活動を行わせることで、勾留という長い身柄拘束を抑制することにその趣旨がある、との考え方が存在する。
参考人として比較的強制に近い形での任意同行が行われる現状を見ていると、後者の考え方が成り立つのかどうか疑問。ついでに言うと、後者の考え方の前提として、被逮捕者の取調べ受忍義務どころか、供述義務が導かれそうで怖い。
<先行する逮捕の違法>
逮捕前置主義は適法な逮捕を前提としているため、違法逮捕後の勾留請求は認められない。
これは、逮捕に対して不服申し立て制度のない現行法上では、勾留の裁判がこの代用となること、違法逮捕であれば、勾留以前に即時釈放されているべきである事などから導かれる。
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