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訴因変更の要否

<訴因>

 訴因とは、検察官の主張であり、犯罪構成要件から法律的に構成された具体的事実である。(事実記載説)
 この訴因によって、審判対象が確定され、また被告人の防御の範囲が示される。(訴因の審判対象確定機能、防御範囲提示機能)


<訴因変更の要否>
 審理の結果、検察官の提示する訴因とは別の事実が判明した場合、そのままでは、訴因と異なる認定をする事は許されない。
 そこで、訴因を変更する事が必要となる。

 ただし、窃盗事件における被害金額の多少の多寡であるとか、傷害事件における傷害の微妙な軽重のようなものまで、訴因変更の手続きを経なければならないとするのは、非現実的であり、無意味。
 かえって審理の長期化を招き、被告人の不利益にもつながる。

 そこで問題となるのが、どのような変更があった場合に、訴因の変更が必要か、である。

 そもそも訴因とは、法的構成がなされた具体的事実の主張である。
 そのため、事実が変化する場合には、訴因変更が必要なようにも思える。
 もっとも、軽微な事実の変化まで訴因変更が必要とするのは現実的ではない。
 そこで、一定の重要な事実の変化があれば、訴因変更が必要と言える。

 この点、訴因が審判対象の確定と、被告人の防御範囲を示すものである事から被告人の防御上、具体的な不利益が生じる場合には訴因変更が必要となる説(具体的防御説)と、一般的に訴因を変更しなければ、被告人に不利益が生じるであろう事が類型的に導かれる場合に訴因変更が必要となる説(抽象的防御説)がある。
 なお、審判対象が異なる場合は、改めて別訴を提起すべきであるから、訴因変更の要否に関しては、訴因の審判対象確定機能からは問題とならない。

 思うに、訴因の防御範囲提示機能から考えると、被告人の防御上不利益な場合に、訴因変更手続きが必要と考えるから、具体的事案を離れて決定する事はできない。
 類型的に防御上不利益がないと見られる場合でも、具体的事案について、訴因変更を必要とする事情があるならば、この変更手続きを踏むべきであるし、逆に、類型的には必要と認められても、不要とする特殊事情があれば、訴因変更をしなくとも問題ない。

 
<訴因変更が不要な場合>
 上述の、具体的防御との関係で訴因変更が不要となる他、いわゆる縮小認定をする際には、訴因変更は不要と解されている。
 (たとえば、傷害から暴行、殺人未遂から傷害、強盗から恐喝)
 また、法律上の大小関係も同様と解されている。
 (横領から占有離脱物横領、共同正犯から幇助犯)
 
 その他、罰条の変更なども、原則として不要と見られているが、それが被告人の具体的防御の観点から問題を含むのであれば、例外的に訴因変更が必要と言える。 
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プロフィール

author:弁護士 稲毛正弘

群馬弁護士会所属
法律事務所フラットにて執務中
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最近、よく年齢を聞かれます。
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