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政教分離と信教の自由

 憲法20条1項
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

 憲法20条3項
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 憲法89条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。


 首相の靖国神社公式参拝などでもたびたび問題になる政教分離。
 平たく言えば、政治と宗教は分けましょうね、というルール。国家は
 特定の宗教が政治に関与することで、その宗教が堕落してしまうことを防ぐためだとか、特定の宗教が政治権力を持つことで、他の宗教を迫害することのないように、なんて言われる事が多いみたいです。
 
 言い換えれば、個人の信教の自由を制度的に保障するものである、とも言えます。
 政治と宗教を分離する制度を構築しておくことで、個人個人の宗教的な観念だとかなんだとかを、守ろうとする、ってことです。


 なんですが。
 ここで一例。
 
 ある新興宗教では、毎週の水曜日は家から出ず、絶対神に感謝を捧げる日だとされた。
 そこで、この宗教の信者であり、県立高校に通うAは、毎週水曜日の授業は必ず休んでいたため、授業単位数が足りず、進級する事ができなかった。


 さて。こんなとき、自分の宗教的思想を貫こうとすれば、高校卒業ができなくなる。ということは、この宗教の信者であるがゆえに、絶大な不利益を被っているではないか。
 ということは、信教の自由を害いており憲法違反だ!!
 水曜日は授業に出なくてもきちんと進級できるようにすべきだ!!

 さて。これが認められたらどうでしょう。

 信教の自由からみれば、悪いことではないとも言えるしょう。
 本人の信教の自由を徹底する事を許せるのだから。

 
 ただし、政教分離の観点からは?
 
 この宗教に、県立高校が特権を与えることになってませんか?
 政教分離を定める条文の一つ、憲法20条1項後段、どうなりました?

 な~んて。


 同じところに進んでるはずの、二つの規定が、どこかでぶつかりあってしまう事もあるんですね。
 なんか、いろいろ詰まってる気がします。
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プロフィール

author:弁護士 稲毛正弘

群馬弁護士会所属
法律事務所フラットにて執務中
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最近、よく年齢を聞かれます。
身体を動かすことは好きです。

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