最高検、主任検事を証拠隠滅容疑で逮捕へ 郵便不正事件
郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件をめぐり、押収品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、最高検は21日夜、大阪地検特捜部でこの事件の主任を務めた前田恒彦検事(43)を、証拠隠滅の容疑で逮捕する方針を固めた。
なんだか、ものすごい勢いで報道も捜査も進んでいってます。
検察組織ってすごいのね。(皮肉でもあるけど、感嘆の方が強いです。たぶん。)
どうやら最高検は、証拠隠滅罪で逮捕する予定らしい。
刑法104条
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
ただ、前田検事の被疑事実は、証拠として押収したフロッピーのデータをいじった…というものらしい。
これだと、刑法258条の公用文書毀棄罪になるんじゃないだろうか。
刑法258条
公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
今回はフロッピーディスクのデータ=電磁的記録だから、罪名は「公用電磁的記録毀棄」にかな。
この罪の構成要件は3つ。
1・公務所の用に供する
2・電磁的記録
3・毀棄した
まず、証拠として集められたのだから1の要件は、ほぼ問題なし。
2の要件は全く問題なし。
3の要件がやや微妙なところだけど、紙を丸めて床に投げる行為が「毀棄」に該当する(最高裁の昭和32年1月29日付決定)というのが判例らしいので、これもほとんど大丈夫だろう。
というわけで、
証拠隠滅なら2年以下だけど、公用電磁的記録毀棄なら3月以上7年以下と重いので、こっちになるのではないでしょうか。
証拠隠滅罪とは観念的競合だろうな。
さてさて。これからどう進んでいくのやら。
ともあれ。
普段は相手方の検察官のこととは言えど、司法への信頼が揺らぐのは大問題。
一法曹として、寂しい。
必要ではある。けれども、「刑罰は最大の人権侵害である。」
これだけは、忘れずにいこうと思う。